今日は友人と天野可淡展の本展を見に行きました。
プレビュー展は惜しくも見にいけなかった分、本展はもう2回でも3回でも見に行くつもりです。

天野可淡さんの作品に出合ったのは、12年前、旅先の新宿紀伊国屋の中でした。

あまりにも美しく哀しい人形達の本に魅せられて、気がつくとそこにあった2冊とも買い上げた自分でした。とはいえ、実物を拝見したのは3年ほど前京都で開かれた妖精展で、それもほんの2,3体だったんです。

駐車場を改造した会場は、打ちっぱなしのコンクリートの広い地下室です。黄色い光が蝋燭のように静かに人形の傍にだけ灯っていて、ひんやりとした空気と、ところどころ静かに散在した観客が、とても印象的でした。

会場には最初音楽がかかっていなくて、観客の足音だけエコーになって響く静けさがとても心地よかったんですが、人数が増えてきたのか、音楽が掛けられました。

2,30センチ台のドールは、それぞれ細長の金縁の硝子箱に収められてました。狭い箱の中で、まるでドールの持つ時間が箱の中に閉じ込められているかのように、箱の中の空気が箱の外とは違うように感じられたんです。

奥に行くと、大型ドールがそれぞれテーマを持ってディスプレイされていて、色んな時代やドラマのワンシーンだけを、次々と目に飛び込んでくる感じでした。

更に行くと、お部屋があります。入るとそこは何にも無い部屋の中央に、西洋アンティークの床屋に使われた椅子に鮮やかな着物を纏った可淡ドールが一人。ここには音楽が届かない。空気が凝結したような気がして、この不思議な組み合わせにしばらく見とれていると、また違う空間があると気づいて次の部屋に入っていくと、

時が百年より前から止まっている。満を成して零れ落ちる絢爛な美を目の当たりにしたんです。女性の部屋と見立ててディスプレイしてその部屋は、鮮やか過ぎる着物が随所掛けられ、金の刺繍の施してある真っ赤な絹布団、古箪笥、そして髪と衣の乱れたぼんやり座っている人形。美しすぎて涙が出そうでした。
遊女の部屋…それとも…と勝手にストーリを考え出してしまって、しばらくその部屋から動けなかった。

京都にいた時、大学の近くに古裂と古着物を扱っているお店があって、そこを時々覗いてたおかげでその部屋に飾ってあるのが全て古裂だと一目でわかりました。本当に驚きました。これだけ状態のよいアンティーク着物をこんなに大量に使ってディスプレイするなんて…そう、きっとこうしなければ、時が止まってる感じに出来なかったしょう。スタッフに聞けば全て佐吉さんのコレクションだそうです。すごい…佐吉さんってどんな方でしょう(まだ一度も会った事ないんですが)

会場に小さなバーと椅子やテーブルが設置してあって、友人とそこで一休みにしました。人形に面して設置したソファーに座り、スタッフが灯してくれた蝋燭の光の中で林檎ジュースを飲んで、一息。

いや〜今日は本当によかったです。

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余談ですが、
友人と「ドールのように」とテーマを決めて待ち合わせたら、二人とも生成りベースの着こなしだった(笑)。ビスクドールを意識した甘ロリ二人ですが闇につつまれてる会場にはいささか不調和だったかも。あと、ミニバーのメニューも面白かった。中味はごくごく普通だけど名前が…(笑)
コカコーラが「カストラート」、なんだか忘れたけど名前が「ファリネッリ」(爆)んで林檎ジュースはなぜか「桜子」です。

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